決まったら考えるよ。

思いついたことそのまま書く。髭剃り、読書、仕事、考えたこと、調べたことを備忘録代わりに。

しんがり

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「後軍」という言葉がある。戦に破れて退くとき、軍列の最後尾に踏みとどまって戦う兵士たちのことだ。彼らが盾となって戦っている間に、多くの兵は逃れて再起を期す。会社破綻を企業敗戦ととらえれば、自主廃業の後で働いた社員たちは、しんがりの兵士そのものであった。

 

あらすじ

1997年、四大証券の一角を占める山一證券が突如破綻に追い込まれた。幹部たちまでもが我先にと沈没船から逃げ出すなかで、最後まで黙々と真相究明と清算業務を続けたのは、社内中から「場末」と呼ばれる部署の社員だった。

 

「―――これが俺の最初の仕事なのか」

 

山一證券業務管理本部、「場末」と揶揄されるその部に赴任した嘉本の気持ちはどんなものだったのだろうか。業務管理本部への異動はつまり、山一證券の出世レースから完全に外れたことを意味する。そして異動間もなく、特別調査委員会の監査が入り、何も知らない山一證券の不正事案に対して矢面に立たされることになる。思わず口にしそうになったその言葉に、「被害者意識」が見て取れる。しかし、不正事案の調査を進めるうちに、その心境に変化が現れる。

 

「社員は悪くありませんから!」

 

山一証券当時の社長、野澤は記者会見でそう叫んだ。このシーンはニュースにも流れ、多く人の記憶に残った。営業一筋で生きてきて、ある日突然社長に祀り上げられる。各種不正事案とともに、簿外債務2,000億まで知らぬうちになすりつけられた男。TDKの澤部前社長は、TDKにおけるステークホルダーについて、「理論的には株主、理想的には社会、現実的には顧客、心情的には社員。」といわれた。ただただ社長として祭り上げられ、罪をなすりつけられた野澤のこの言葉は、何も力がない自分に対する絶望とともに、せめて、今まで憑代としてきたものだけは守りたい。という悲壮な感情が背後にうっすらと見える。

 

「最後くらいは、まっとうに生きたい」

 

山一證券の自主廃業は既に決定している。それでも業務管理本部が「敗戦処理」というしんがりの役割を果たすモチベーションはこんな言葉だった。その言葉とともに業務管理本部が作り上げた106ページにも渡る社内調査報告書。群列の最後尾に踏みとどまって戦い抜いた兵士たちが作り上げたその報告書は、逃れて再起を期した兵士たち(再就職組)にも届けられることになる。

 

 

 

 

書き方として業務管理本部に肩入れするシーンがあまりに多く、野澤社長ら、経営陣をあまりに軽んじている点はフェアじゃないな。と感じた。とはいえ、凄まじい速度で進展していく物語、気づけばひとり、またひとりと周囲の人間がいなくなっていく切なさ。そして最後に業務管理本部が作り上げた、それぞれが違う会社で働く今となっても続く、「山友会」という心のつながり。給料も出ない中で、自分がそんなことを達成できるだろうか。

 

…無理やなw

仕事で読むハメになった本なので、読書感想文らしきものを作っておく。

 

 

しんがり 山一證券最後の12人 (講談社+α文庫)

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