決まったら考えるよ。

思いついたことそのまま書く。髭剃り、読書、仕事、考えたこと、調べたことを備忘録代わりに。慶應通信で大学生もやっています。

管理会計における非生産部門の生産部門化

1. 序論

本社。

どこの企業にでも存在すると思う。僕が経営企画室に所属していた時代、こいつの扱いにいつも頭を悩ませた。だってウチの会社の本社って金産まないの。その割に恐ろしい金額を予算計上して、使って、全社P/Lを痛めつけるのさ。そりゃそうだよね。本社ってのは現場にとって司令官のような人間の集合で、予算をそこにつけておけば司令官の裁量で施策が実行出来て、フレキシブルな経営に繋がるもの。当たり前だと思う。だからこそ、いつしか本社の経費なんてつまらない「事務用品費ガー!」とか「アルバイト給与ガー!」とかくだらない議論に集中するんだよ。肝心の施策費用は「昨年対比100%でやっとけ。それでいいだろ、いつも通り」なんて形になって、いつしか誰も検証しなくなる。誰かが止めないと。でも何の指標で?

 

2. 本論

掲題の通り。「非生産部門の生産部門化」がひとつの解決策になりそうだ。きっかけは慶応通信でやってた財政論で、

 

租税は一般に、政府が民間部門から一方的かつ権力的に徴収し、かつ特定の反対給付を伴うものではないという意味で、一つの強制獲得経済であるとみなされている。

(大熊一郎・古田精司・大島通義・飯野靖四『財政論』p70 - p73)

地方財政論入門 (経済学叢書Introductory)

 

そう。単純だけど強制獲得経済として成立させれば良いか、なんて思ったからである。

 例えば…

  • 本社を除く、売上高合計は10,000百万円とする。
  • 本社を除く、売上総利益率は50%とする。つまり売上総利益は5,000百万円。
  • 全社営業利益は800百万円とする。つまり販管費は4,200百万円。その中で本社販管費は200百万円。
  • 本社以外の店舗は全部で40店舗、すべて同規模であり、1店舗あたりの売上総利益は125百万円、販管費は1店舗あたり100百万円とする(ちょっと無理があるが)

という前提条件下で考えると、本社を含めた販売費および一般管理費(以下「販管費」)は5,000百万円以下に収めないと営業利益はマイナスになることになる。で、売上高が思うように上がらない業界とかだとこの販管費の削減(=コスト削減)が予算計画策定のメインディッシュになるんだよね。でも、販管費削減って結構残酷で、現場はいつもで大抵カツカツでやっていて、「削減!」なんて言われると予算じゃなくてモチベーションが削減される始末。(無論、無駄が存在するケースもあるので『完全に無駄!』とは言い切らないが)で、販管費が多い部門から削減のメスが入っていく訳だが…なぜかスルーされる本社部門。

さて、適切な本社経費とはどの程度なのか。会社や経営状態によって千差万別だけど、

 

「本社販管費全社売上総利益率」

 

という比率でまずは考えてみる。これは本社販管費が全社売上総利益においてどれくらいの割合を占めているのか、という計算結果。では、この計算を行った結果、上記ケースにおいて本社販管費全社売上総利益率が4%、本社販管費は200百万円(5,000百万円×4%)だ。なんと現場店舗の2倍もの販管費を使用している。そりゃそうだ、役員報酬やら、本社に常駐する部門長の高い給与やら、経営指揮を執る高コスト人間が固まって、広告宣伝費などの施策費用がここに計上されるのだから。本社部門は毎年赤字だし、それが当然だからコスト削減対象部門に名前が挙がったとしても、「しゃーないやろ!施策費用とかいろいろあんねん!」で、終わる。じゃあ管理会計上で生産部門化してみます?というのが掲題の『非生産部門の生産部門化』というワケ。

 

上記ケースであれば、1店舗あたりの営業利益は25百万円。40店舗合計で本社の経費を負担してやらなきゃいけない。本社経費200百万円を40店舗で負担するとすると1店舗当たりの負担額は5百万円となる。つまり店舗売上総利益ベースで考えると4%、この金額を、「各店舗の売上総利益から減算し、本社の売上総利益とする」のである。そうすると本社P/Lは売上総利益200百万円、販管費200百万円、営業利益0円の生産部門となる。コスト削減が利益にダイレクトに反映され、本社事務方の定量的なモチベーションにも繋がる(かもしれない)し、本社施策費用を投下することによりどこかの店舗売上があがれば店舗売上総利益の4%を変えずとも、そもそもの売上高上昇により売上総利益は上昇し、本社部門の売上総利益も上昇する、そして本社営業利益も、全社営業利益も――—。

 

3. 結論

まぁここまでうまくいく訳がないんだけど、考え方としては有用だと思う。何も指標がない状態から、強制的に租税のような形で徴収すると、「徴収するうしろめたさ」が「現場にいないうしろめたさ」とリンクするケースもあるだろうし。本社で欠伸している人間には結構強烈な一撃になるんじゃないかと思います。管理会計の仕事は本当に面白い。考え方によっちゃゲームマスターみたいなもんだしね。

 

 

「管理会計の基本」がすべてわかる本 第2版

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