年を重ねるにつれ、「接待」という行為に関わる回数が増えてきた。この接待という行為は本当に面倒くさいし、しょうもないとは思う。しかしながら悲しいことに僕レベルの仕事では、その後の仕事のきっかけや円滑な取引に繋がるというのを身をもって体験してしまった。接待でしか貰えない仕事は本当に滅べば良いのに…と思いつつもその仕事が無いと生きていけないというジレンマ。日本は本当に生きていくのが難しい。
先週はちょっと普段に比べて回数が多かったのだが、3回ほどそういう席に参加した。そしてその3回目で、「あ、これ使い方やん」なんて思ってちょっと楽することが出来たので普段なんとなく気を付けていることも含めて記事にしておく。
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よくある接待(会食?)コースの第一部
だいたい人数は2~3人対2~3人くらいが多いだろうか。で、スタートは「居酒屋」とカテゴライズすると店の人に怒られるか*1、激しい違和感を持つようなお店でスタートすることが多い。
こういった場所は大抵個室で、瓶ビールと小さなコップで礼儀と言う名の気遣いの押し付け合いを行いながら、直近の仕事のお礼だとかビジネス上の世間話の応酬が発生する。下っ端として参加する僕のここの役割は「① 誰かのグラスを空にすることなかれ」そして「② 誰かの空になった皿を素早く店員へパスすべし」である。
鉄則1:誰かのグラスを空にすることなかれ
すぐ空になる小さなコップ、その銘柄や注ぎ方に最新の注意を要する瓶ビール空中戦が行われているこの場は一般兵卒にとって制空権を握られた戦場で、見渡す限り塹壕も無く、進む方向しか伝えられていない中でただひたすら敵陣があると思われる方向へ向かって進むという選択肢しか許されない地獄の場である。新兵は大抵ここで沈む。しかしちょっとしたテクがあれば塹壕に逃げ込むチャンスを作ることが出来る。そのチャンスを引き出す魔法の言葉、それは…
「そろそろビールから変えられますか?」
だ。
ビールという飲み物はなんだかんだお腹に溜まる。接待や会食の場ではおいしい食事が出てくることも多いので、ビールだけで進むことは経験上そんなに無い。そして我々にとって瓶ビールと小さなコップの空中戦は長ければ長いほど体力が削られる。早くビールから切り替えてもらうに越したことはないのである。これで1人でも「あ、焼酎にしようかな」なんて言ってくれたら勝利である。所詮飲み会、考えるのが面倒くさいから次々に追従していつの間にか勝手に違うものを、ビールよりも無くなるのが遅いものを頼んでくれるようになる。
ちなみにここで「あ、焼酎ボトルで、水割りセットと、ウーロン茶もください」なんて流れになると逃げ込んだはずの塹壕は地雷原と化す。焼酎の濃さ、氷の数、割る物、タイミング、溶けた氷と難しくなるその濃度…挙げればキリがない。僕ならとりあえずおいしいごはんと楽しく飲むお酒を諦める瞬間。
鉄則2: 誰かの空になった皿を素早く店員へパスすべし
これその会食がコース料理の場合限定ではあるが*2、これをやらないと勝手に「コイツは気が利かねぇ」という致命的な烙印を押されるので気を付ける。個人個人に同じ料理が出てくる場合全員にほぼ同タイミングで配膳されるので、上司や相手方に先に料理を配膳してもらわねばならない状況では、「いかに早く上司や相手方の配膳スペースを確保しておくか」ということに留意せねばならないからである。ちなみにあまりに早く皿を片付けると「余韻に浸れなかった」とか「なんか無粋」とかいう有難いレッテルを頂けるので本当にタイミングが面倒くせぇ。
アラカルトであった場合は相手の食べたい物や苦手な物、そのお店の名物やおいしいものといった特色を押さえておかねば「コイツ使えねぇ」という銃弾を全身に受けることになるので、もう神に祈るしかない。あとはさらに料理の注文のタイミング、種類(サラダ、漬物、刺身、揚げ物、など段々と重たいものにしつつ箸休めを入れ込む)などがダメ押しでダメージ倍率を上昇させてくる。だから新兵は確殺、軍曹クラスでもよく死ぬ。オレはもう死んでいる。
そして二件目、夜の街へ―――…
二件目からはかなりケースバイケース。一件目で議論が盛り上がったりした場合であれば「ちょっと熱さまし」というスタンスで落ち着いたバーをチョイスして上役と相手方を押し込めば良いし、みんな大好き下ネタや雑談で盛り上がったのであれば女性がいるお店に行くこともある。はたまた、「じゃ、ここで」なんて感じでサックリあがることもある*3
そして最近気づいたのは、「女性がいるお店の二件目は『気が抜ける』ポイントやんか!」ということ。お店の女性とお酒を飲むようなお店に接待や会食の流れでいく場合、ついついハメを外したくもなるのだが、相手や上席がいるとそうもいかない。ここでの主役はおまえではない、相手や上席だ。そしてお店を仲間に着けるのだ。
そういったお店についたらまずは「ちょっと失礼」と言ってトイレに行くフリからスタートだ。そしてボーイさんを捕まえて…「あそこはあの人とあの人が偉い人なんで、お願いします」これだけで良い。彼らもプロだからその順番と対象がわかれば適格な座席配置を作り上げ、素敵な空間をマネジメントしてくれる。そしてそういったお店で働いている女性は気遣いのプロである。空になりそうなグラスは的確に処理、素敵な笑顔で相手方や上席を楽しくしてくれる。そう、一般兵卒の仕事を全てこなしてくれる、素晴らしい援軍なのだ。ここぞとばかりに一般兵卒は手を抜こう。ウブに楽しんでる部下を見ることを上司はニヤニヤしながら見守ってくれることだろう。しかし彼女らは伝説の傭兵。金の切れ目が縁の切れ目である。2セット目に突入する前に上司に本日の予算を聞いておくのをお忘れなく。
さらに深い夜の街へ
ここから先はもう帰っても失礼にはならないことが多い。全員気持ちよく酔っぱらってグダグダになっている可能性が高いから。上席の財布からタクシーチケットやカードを拝借してタクシーに押し込んで、「我々は後のタクシーで帰りますので!お疲れさまでした!」で手切れである。傷ついた仲間たちとつけ麺でも食って帰ろう。明日もまた仕事だ―――。
翌日の儀式
翌日は必ず「ありがとうございました。楽しかったです。」というメールを始業前に、先方と上司へ送っておこう。そのメールを受け取らずに文句を言う人は山ほどいるけれど、受け取って「礼儀がなっておらん!」と怒る人はそういない。そして出社したらもう一度ダメ押しだ。
「楽しかったです!ありがとうございました!」
上席はきっと二日酔いの頭痛を抱えながら苦笑いとともに「お疲れ」くらい返してくれるだろう。さぁ今日も社畜として生きていくのだ。生産性の低さ、古くからの慣習や礼儀に縛られることのバカらしさを触媒として発生した様々な無駄な仕事を、今日もまたただただ無心で撃墜していくのだ。
お疲れさまでした(二日酔いの頭を抱えながら)
end.

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